読んだらわかる!システム管理講座
あなたの会社でどうやって監視を始めるか − 死活監視とは?
公開日:2011年10月14日(金)
3 . ソフトウェア導入とアプライアンス導入の比較
自作の簡易スクリプトから特化型ソフトウェアや統合型ソフトウェアまで、それぞれの特長を見てきましたが、いずれにせよハードウェアがなくてはサービスは動きません。また実際の運用にあたっては、監視サービスが落ちてしまっては元も子もないため、堅牢性に配慮する必要があります。
このページでは、実導入・実運用にあたってのこうしたポイントについて解説します。
ソフトウェアを導入する場合のメリット・デメリット
死活監視システムを導入する際、例えばオープンソースのソフトウェアを使ってイニシャルコストを下げようとするケースもよく見られます。
死活監視が可能なオープンソースソフトウェアを、すでに会社にあるPCサーバなどにインストールし運用することで、当面の導入コストはゼロで済みます。しかし、監視サービス自体には高スペックなマシン性能も大きな電力も必要がないため、安直にPCサーバで運用する場合には、コスト面でも電力面でも大きなリソースが無駄になります。そのため、オープンソースソフトウェアを用いた監視サービスは、リソースを効率的に使用できるようにした仮想サーバー上などで運用されるケースがほとんどです。
一つの物理的なサーバー上に作った複数の仮想サーバーで、監視を含むいくつかの常時稼働サービスを運用する場合であれば、物理的なサーバーの性能や電力を格段に効率的に使用できます。ただしこの場合は、一つの物理サーバーのトラブルで複数の基幹サービスが一度に停止してしまう危険性があることに注意する必要があります。
そうならないように、さらに監視サービスの冗長化や、メンテナンスを怠らないことなどが必要です。
手間なく安心導入できるアプライアンス
自らソフトウェアをサーバーにインストールし監視を導入するケースと比べ、より手間をかけずスムーズにサービスを運用開始できるのが、監視専用のアプライアンスを用いる方法です。
監視アプライアンス製品は様々なベンダから様々な規模のものが販売されています。オープンソースを自らインストールする場合はCUIの使用やコンパイルといった様々な手間が避けられませんが、必要なサービスがインストールされているアプライアンスを使うことで、そうした手間を避けスムーズに運用を開始できるうえ、運用中の監視サービスの管理なども、Webインターフェースなどを用いて非常に簡便に行うことができます。
必要な機能を見極め最適なアプライアンス選びを
オープンソースの監視ソフトウェアをベースにしたアプライアンスから独自ソフトウェアによるものまで様々な製品があります。数百万円の製品であれば、死活監視はもちろん、様々なネットワーク管理機能を統合的に運用することもできます。あるいは、導入する環境に必要な機能を見極め、特化型ながら機能に過不足のないアプライアンスを選べば、信頼性の高い監視サービス運用を実現しつつ、余計なコストは大きく抑制することができます。
ただし、NagiosやHinemosといった自由度のきわめて高い監視管理ソフトウェアを直接編集操作する場合と比べると、アプライアンス上(アプライアンス独自のインターフェース上)での設定操作の自由度は劣る場合があります。そのアプライアンスで使用されるベースのソフトウェアがオープンソースである場合などは、アプライアンスのインターフェースを介さず直接ソフトウェアを操作することで変わらぬ自由度が実現しますが、いずれにせよ、自由度の高い操作・設定が必要な場合は、担当者にそれなりの高いナレッジが必要とされることになります。
担当者への 依存度 | 構築の工数 | 機能 | 機能拡張の容易性 | 運用サポート | ||
アプライアンス (EasyBlocksなど) | 少 | 少 | 中 | 中 | WEB I/Fでの設定に対応していない項目も、設定の直接編集で利用可能。 | ハードウェアを含めシステム一式での有償のサポートが得られる。 |