見たい画像を的確に確認できるモニターシステムで
セキュリティーを向上
監視カメラを使用したソリューションにOpenBlocksを採用
株式会社ONE システム開発チーム
掲載日:2014/02/25
組織概要
愛知県名古屋市に本社。Linux開発やアプリ開発、M2Mビジネスを展開。
新たな「視線」「発想」を基に商品開発を行いメーカーや商社へ供給する。
導入前の課題 | 導入効果 | |
---|---|---|
様々な機能を搭載するための十分な容量がほしい | → | 最大256MBの大容量フラッシュROM内蔵で、多様なアプリケーションの組み込みが可能 |
動画や静止画などの大きなデータを保存したいが、ハードディスクが置けない環境がある | → | 手のひらサイズのコンパクト筐体と耐熱・耐塵の堅牢設計で机の下など、柔軟な設置が可能 |
『警備員が回るようなイメージ』で自動巡回する監視カメラ
株式会社ONE システム開発チームは、予め設定したアングルの自動巡回機能(プリセットポジション)を持つ監視カメラ「STM-Pro2、STM-Pro2/R」および「巡回くん」を2014年1月、パノラマを自動生成する監視カメラ「Around Touch」を、2014年4月に発売する。そのベースハードウェアとして採用されたのが、ぷらっとホームのOpenBlocksである。
巡回くんのメール送信画像
今回発売された「STM-Pro2、STM-Pro2/R」の前身となる「STM-Pro」は2012年10月に誕生し、鉄道会社や警察をはじめとして大手企業に多数の採用実績を残してきた。その中で有線LANで使用する監視カメラの要望が出てきたため、開発したのが「巡回くん」である。
従来の監視カメラは、気になる場所がある場合には人が操作してカメラを向ける必要があったり、夜などの暗い場所では静止画が撮れないなど、様々な規制があった。しかし、巡回くんに搭載された「プリセットポジション自動巡回&スナップショット」機能を使用すれば、予めセットしておいたアングルを自動巡回してスナップショットをメールに添付し、送ることができる。照明も連動させることができ、まるで『警備員が回るようなイメージ』で夜間に自動的に巡回する。
多くの監視カメラのようにカメラ画像を見に行く必要がなく、自動で静止画像を送ってくれる機能がついた監視カメラは他にないと、発案者である株式会社ONEの本橋登美雄氏は言う。
大容量フラッシュROMやSSDをコンパクトな筐体に内蔵
STM-Pro2/R
STM-Pro2/Rで撮影した
資材置き場(夜間)
STM-Pro2、STM-Pro2/Rにもこのプリセットポジション自動巡回機能を設け、さらにSTM-Pro2/Rには予めセットした赤外線センサーに反応した際に、カメラが動いて撮影するというプリアラーム録画機能を付けた。
この機能を使用し、センサーが反応する何秒前から反応した何秒後までのスナップショットをSSDに録画するという設定をすることもできる。この機能はお客様からの要望で実装したという。
「OpenBlocks A7にSSDが搭載可能となったことは大きい変化です。今まで録画機というのは別口でハードディスクを置かなくてはいけなかったのですが、STM-Proは屋外で使うケースが多く、ハードディスクを置くのが非常に難しいケースが多くありました。」(本橋氏)
SSD搭載機種に関しては、他にも、RAMディスクとSSDを使い分けて、通常モードの場合にはRAMディスクの方に録画し続け、アラームが入った時にそのファイルをSSDに移動するということもできる。また、巡回撮影した静止画像は1日約500枚撮影した場合でも、約1600日分SSDに録画することが可能だという。
本製品の開発を担当した有限会社ロジックベースの樋口昭夫氏は、OpenBlocks A7をベースハードウェアに選んだ理由を以下のように語る。「フラッシュメモリが256MBと大きいので、色々な機能が搭載できるようになったのは嬉しいですね。他にもマイクロサーバーはありますが、フラッシュメモリが少ないんです。OpenBlocksは今まで使ってきていて信頼もあります。」
定期的にパノラマ画像を自動生成するカメラ
2014年1月に発売した3製品の内、パノラマを自動生成する監視カメラ「Around Touch」は、従来の監視カメラはもちろんのこと、上記の2製品とも違う、非常にユニークな特長をもった製品だ。
スマートデバイスでアプリケーションを起動すると、まず、カメラが撮影した360度のパノラマ写真が表示される。1時間に4回を目安としてパノラマ生成処理がされ、その直近の画像が表示される仕組みになっている。そこで気になる箇所があった場合には画面をダブルタップするとその箇所のライブ画像に切り替わり、ズームなどを使って確認することができる。
非常に操作性が優れており、基本的にボタン類はほぼなく、直感的な操作が可能なインターフェースとなっている。
「定点カメラの場合、このカメラのように回転できるもので撮ったとしても、今向いているところと違う側が見たいという場合にはプリセットポジションなどを使用するか、画面の矢印で動かしていくしかありません。しかしそれでは、とりあえず一望を見たいというお客様に対応できません。Around Touchは、例えば商店街の監視や駐車場の監視など、1時間に1回でいいから定期的に、まずはぱっと見で状況を確認でき、そこで気になったらライブに切り替えるということができる商品です。」(本橋氏)
カメラはアプリケーション1つで4台までコントロールできる仕組みになっている。ライブ映像を確認する際などは1台のカメラごとに操作する。カメラの切り替えは画面からもできるが、予め、例えば『30秒ごとに更新』などと設定もでき、定期的に4台のカメラ画像が巡ってきて監視をすることができる。
「タブレット端末を持ち歩く時代は来ていますので、定期的にパノラマ画像を見られるというのはメリットだと思います。コストの問題もありますし、たくさんカメラをつければ良いということではなく、くるくる回って1つのカメラで色々なところが見られるというメリットがもっと生かせればと考えました。」(本橋氏)
OpenBlocksにより処理時間を短縮、約200日分のパノラマ画像を保存
開発にかかった期間はちょうど1年ほどだった。「本来、パノラマ画像は人が目視で作っていきますが、今回の場合は全てをオートマチックで作らないといけません。芸術作品ではないので画像のきれいさとは観点が違うと思いますが、それでも自動で動いて、なおかつ実用に耐える映像を作るというのが課題でした。」と開発した有限会社アスタリスクの阿部健一氏は語る。
「パノラマの生成処理は非常に重たい処理なんです。当初は別のハードウェアで開発していましたが、OpenBlocks AX3を使用することにより処理時間が短縮できました。」(阿部氏)
パノラマ画像の生成にあたっては、カメラが複数ある場合にどのカメラを使用して作るかを設定でき、生成された画像は「アラウンドタッチサーバ」であるOpenBlocks AX3の中に保存することができる。保存した画像はアプリケーション上で一覧表示でき、過去の画像も見ることができる。
「今見ている映像の他、OpenBlocks AX3に保存した過去のものでも、気になるところや、何らかの理由でメモしておきたいと思った場合には、端末側に保存することもできます。基本的にはOpenBlocks AX3にどんどん貯めており、20GBのSSD使用の場合、概算でおおよそ200日分ぐらいは貯めることができます。『この頃どうだったかな』と気になった時も、後から映像で見ることができます。」(阿部氏)
また、過去の画像からライブ動画への切り替えも可能だという。
■ Around Touch
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OpenBlocksにさらなる期待
将来的にはSTM-Proのように屋外等に持ち運べるものにもパノラマ生成機能をつけることも検討しているが、現状では課題があるという。
「日々OpenBlocks AX3を横に置きながら開発しているのですが、パノラマ生成するときにFPUをものすごく使うので、その時に相当発熱が発生してしまいます。それ以外の時は問題ないのですが。OpenBlocks AX3はFPUを積んでいるのが特長の1つですので、フルにFPUが動いている状態でもある程度は熱問題が解消できれば、先の見通しが立つのかなと思います。」(阿部氏)
「耐寒性を求められる場所で使いたいというお客様もおりますし、ぷらっとホームには頑張ってもらいたいと思います。今後オリンピックにむけて監視カメラの需要はすごく増えると思いますので、ぜひお願いします。」(樋口氏)
現在、OpenBlocksの動作保証温度は0℃からとなっているが、顧客からは改善要望が多く、今後の課題として検討を始めている。
株式会社ONEはSTM-Pro2、STM-Pro2/Rの3G通信モジュールに関して、既存の外付けのUSB型の他に、内蔵型についても開発を始めている。「この内蔵型3Gを開発して、将来的にはカメラ以外のM2Mにも参入していきたいと考えています。」(本橋氏)
有限会社アスタリスク
山崎 繁 氏
有限会社アスタリスク
阿部 健一 氏
株式会社ONE
本橋 登美雄 氏
有限会社ロジックベース
樋口 昭夫 氏