ホーム導入事例・活用例

OpenBlockS 266導入事例 ぷらっとホーム株式会社

IAサーバーをOpenBlockSにリプレイス、VM環境を大幅に整理

掲載日:2008/10/02


ぷらっとホーム 情報システム課では、増えすぎた仮想マシン(VM)の整理を行うべくシステムの見直しが行われた。結果、かつてはWebフロントエンドをはじめとする社内外への種々のサービスを稼働させていた、6台のラックマウントIAサーバー上の24のVMを、3台のOpenBlockS 266および、2台のラックマウントサーバー上の17のVMからなる構成へとリプレイスすることに成功した。

新しいシステムでは、本願であった「サーバー環境の整理・明解化・管理の効率化」を実現したのはもちろん、OpenBlockS 266のメリットを活かした、自社の運営する各Webサイトの信頼性向上、ランニングコストの削減、そして、大幅な消費電力量・CO2排出量の削減を実現している。
また、同じタイミングで、仮想化システム以外の環境もOpenBlockS 266を用いた環境へと見直され、これらも含めた新システム環境の全体を以前と比較すると、70%もの消費電力量・CO2排出量削減が果たされることとなった。

新旧システムの概要

今回のシステム見直しの発端となったのは、6台のラックマウントIAサーバー (※1)上で多くのVMを稼働させていた仮想化システムの存在である。この仮想化システムでは、 3サイト(※2) ぶんの本番系Webフロントエンド、それとやはり3サイトぶんのテスト系Webフロントエンド、およびDNSセカンダリ、そしてグループウェアや勤怠システムなどの 各種社内サービスが稼働していた。それぞれのサーバーにはひとつずつのVMがあてられており、その数は、Webフロントエンドの6つ(本番系3+テスト系3)とDNSセカンダリ1つ、 そして勤怠等の社内サービス17と、合計で24にものぼった。
また、この仮想化システムのほか、別のラックマウントIAサーバー(※3) で動いていたプロキシサーバーDNSプライマリサーバーの2台もそれぞれリプレイス対象となった。
これらシステムのリプレイス後のハードウェア構成は、図1のようになった。

【図1】


クリックで拡大

A.仮想システム(ラックマウントIAサーバー * 6)
Webフロントエンドサーバー VM (6) OpenBlockS 266 (2)
DNSセカンダリ VM (1) OpenBlockS 266 (1)
勤怠・グループウェア他 VM (17) TRQX-1/50SA (2)
B.プロキシサーバー
Trus-G11 (1) OpenBlockS 266 (1)
C.DNSプライマリ
Trus-G10 (1) OpenBlockS 266 (1)
OpenBlockS 266

現在稼働する5台のOpenBlockS 266

サーバーハードウェアで見てみると、かつては合計8台のラックマウントIAサーバーでまかなわれていた各種サービスが、今では5台のOpenBlockS 266と2台のラックマウントIAサーバーで稼働している。現在稼働する5台のOpenBlockS 266は専用ラックマウントキットを用いてラックの1Uスペースにスマートに収納されており、シンプルで明解なシステム構成が視覚的にも伺い知れるものとなっている。



採用の背景

今回のシステム見直しの中心となるのが、6つのVMで稼働していたWebフロントエンドサーバーのOpenBlockS 266化である。ところで、そもそもWebサービスをフロントエンドとバックエンド(アプリケーションサーバー)に分けて運用しているのはなぜなのだろうか?

ぷらっとホームのWebサービスにおけるシステム構成は、ファイアウォールの手前のDMZ(非武装地帯)に設置されてユーザーからのアクセスを最初に受け付ける「フロントエンドサーバー」と、フロントエンドから手渡されるアクセスに対して処理を行い結果を返す「バックエンド(アプリケーション)サーバー」、そしてバックエンドが処理するデータを蓄積・管理するDBシステム、の組み合わせによって成り立っている(図2)。これがサイトの数と同じだけ用意されており、すなわち、企業サイト・グローバルサイト・ECサイトの本番系およびテスト系に、合計6組が設置され稼働していることになる。

【図2】


クリックで拡大

ここにおいて、サイト閲覧者からのアクセスを受け付けてバックエンドに渡す、あるいはバックエンドから渡されたコンテンツをサイト閲覧者に返すというフロントエンドサーバーの役割は、処理負荷としては小さなものである。そのため、Webフロントエンドのサーバーハードウェアとして一般的に使われることの多いIAラックマウントサーバーの高い処理能力は、本来は余分であり無駄になってしまっている場合がほとんどである。

フロントエンドに望まれるのは、不必要に高い処理能力よりも、常時稼働で問題なく稼働を続けることのできる堅牢性、信頼性、そして必要にして十分な処理能力である。高負荷が強いられるバックエンド(アプリケーションサーバー)に問題が発生しWebサービスに不具合が起きる場合が想定されるが、こうした場合でも、フロントエンドが稼働を続けていれば、バックエンドの復旧作業中、閲覧者のアクセスに、フロントエンド側でメンテナンスメッセージを返すといった対応が可能となる。

フロントエンドにOpenBlockS 266を採用した背景を、情報システム課の嵯峨野祐司はこう語る。

「Webサービスでは、フロントエンドサーバーを配置することで、Webサイト・サービスの信頼性を高めたり、あるいは、Webサービスの不具合発生時にも、 より柔軟な対応をとることができるようになります。こうした構成のメリットを活かすには、まずスペック要件を満たしているということに加え、堅牢で安定して動き、 メンテナンスフリーで稼働させておけるOpenBlockS 266が最適だと判断しました。」

情報システム課 嵯峨野祐司

ぷらっとホーム株式会社
情報システム課 嵯峨野祐司


OpenBlockS 266がもたらす多くの付加価値

今回の中心的な課題であるWebフロントエンドサービスのシステム見直しにおいて、要件を満たす最適なソリューションとして選定されたのがOpenBlockS 266だったのだが、それら本来の課題のほかにも、システム全体の見直しにおいて、多くの付加価値が導入効果を高めている。

「通常のIAサーバーとは違って、PowerPCアーキテクチャなので、外部から攻撃を受けた際に被害をこうむる率は圧倒的に低い。それに、なんと言ってもこの消費電力の低さはすごいですね。ちょうど当時は、ISO14001への対応(※4) のために、消費電力の大幅削減へ向けたシステム全体の見直しも必要だったところでした。今回のリプレイスで、そっちの課題も同時に果たせてしまった感じです。」

サーバーの消費電力は、一般的なラックマウントIAサーバーで250W前後、省電力モデルでも90W前後(※5) であるのに対し、OpenBlockS 266の消費電力は4.5Wとごくわずかである。リプレイスされたWebフロントエンドサーバーを含む仮想化システムとプロキシ・DNSプライマリサーバー全体を合わせた消費電力を見ると、以前が合計で1,893Wであったのに対し、現在では実に586.5Wと、70%の大幅な削減率を達成している(※6)

導入を終えて

「これまでも、社内DHCPやCVSサーバーにOpenBlockSが使われていたため、リプレイスは簡単でした。管理がしやすいし、サポートもちゃんとしている(笑い)。また、情報システム課で以前から採用されていたDebianにも標準で対応しているところも、大きなポイントです。ITIL(※7) の観点から、システム全体のOS環境を共通したものにすることには、大きな価値があります。… 最初からOpenBlockS 266でリプレイスをしたいと考えていたし、リプレイスのときに構成を変えることもせずに済みました。」

「運用に関しては ... もちろん問題ありません(笑い)。以前のIAサーバーだと、スペックに相当バッファがあったのですが、(リプレイスした)どのサービスも、OpenBlockSのスペックで満足に運用できてますね。省スペースなところ、メンテナンスいらず. 消費電力の小さいところとあわせて、いろいろと導入メリットの豊富なサーバーハードウェアだと思います。」

かくして、今回のリプレイス案件では、OpenBlockS 266の持つ多くの付加価値により、サーバー環境の整理・明確化というもともとの課題に加え、その他様々なシステム環境の見直し・パフォーマンス向上が果たされることとなった。IAサーバーのリプレイス用途で、OpenBlockS 266がもたらす導入メリットは大きい。


※1 仮想化システムで使用されていた6台のサーバーハードウェア(いずれもぷらっとホーム製)の
   主な仕様および消費電力は、次のとおりである。
1. TRDX-1/50SA * 2 : Intel(R) Xeon(R) Processor 5110 (1.60GHz DualCore) * 2, 1GB, 160GB SATA, 282W * 2 = 564W
2. TrusP4-1U/GCS : Intel(R) Celeron(R) Processor 2.0GHz, 256MB, 80GB 7,200rpm, 240W
3. TrusP4-1U/875P SATA : Intel(R) Pentium(R) 4 Processor 2.80E GHz, 256MB, 80GB SATA, 89W
4. Trus-G10 : Intel(R) Pentium(R) III Processor 1.13GHz-S, 512MB, 40GB E-IDE, 250W
5. Trus-G11 Intel(R) Pentium(R) III Processor 1.14GHz-S, 513MB, 36GB SCSI, 250W
※2 企業サイト www.plathome.co.jp、グローバルサイト www.plathome.com、ECサイト「ぷらっとオンライン」
   online.plathome.co.jp の3つ。
※3 プロキシサーバー    : Trus-G10。
   DNSプライマリサーバー : Trus-G11。
※4 ぷらっとホームでは、2008年8月22日に、ISO14001への対応認定を取得している。
※5 ぷらっとホーム製品では、一般的なラックマウントIAサーバーであるTRQX-1/50SAが282W、
   省電力モデルではTrusP4-1U/875P SATA が89W。
※6 旧システム:※1※3※4を参照、             合計1,893W
    新システム:
    【Webフロントエンドサーバー】OpenBlockS 266 (4.5W) * 3 = 13.5W
    【勤怠その他】TRQX-1/50SA (282W) * 2 = 564W
    【プロキシ・DNSプライマリ】OpenBlockS 266 (4.5W) * 2 = 9W
                                     合計 586.5W
※7 ITIL: 1989年、イギリス政府のCCTA(Cental Computer and Telecommunication Agency
    : 中央コンピュータ電気通信局)が公表した、ITサービスの管理・ 運用に関するノウハウを集積した
   書籍群、またはそれに依拠したIT管理・運用ノウハウのデファクトスタンダードのこと。
PDF PDFはこちら
Profile
ぷらっとホーム株式会社
https://openblocks.plathome.co.jp/
コンテンツのご活用について

ページの先頭へ戻る