掲載日:2006/11/30
アドホックネットワークの研究・開発
新潟大学 自然科学研究科 間瀬憲一教授は、中継局を配置するだけで自律分散的に無線のネットワークを形成するアドホックネットワーク技術を応用した情報システムの研究・開発を行っている。このアドホックネットワークを利用すれば、コスト面等から有線通信網の整備が難しい中山間地域等にも、通信インフラ配備が可能という特長がある。
2006年6月には官公庁・企業の賛同を得て「山古志ねっと共同実験プロジェクト」が設置され、新潟県長岡市旧山古志村にアドホックネットワークを用いたブロードバンドアクセス網が構築され実験を開始した。山間地への無線通信システムの展開は世界でも例がなく、中越地震で大きな問題となったような、災害発生時の情報途絶による混乱の解消に寄与することが期待される。また、災害時などに、気球を中継局とすることで被災地との通信を可能とするシステム「スカイメッシュ」の開発も産学官連携の「アドホックネットワークのプラットフォームに関するコンソーシアム」の協力を得て行われている。
こうしたなか、2006年10月27日〜29日「ICT未来フェスタ2006inにいがた」において、スカイメッシュシステムに用いられる気球の飛行実験が行われた。この際、気球には無線通信用アプライアンスサーバが装備されたが、この無線通信サーバのハードウェアとして採用されているのが、OpenBlockS 266である。
ハードウェアとOSに求められた柔軟性
試験用アドホックネットワーク機器のベースとなるハードウェアには、進化し続ける新しい無線通信方式への対応・切り替えが必要となるため、柔軟にカスタマイズが可能なOSが求められた。また、PCMCIAカード型の2種類の無線LANカードを同時に使用することも必要であった。これらを満たす機器としてOpenBlockS 266が採用された。これらの要請に応え、気球の飛行実験においても、カスタマイズされたOpenBlockS 266は安定した稼動を見せ、実験に確かな成果をもたらした。
スカイメッシュシステムへの採用を経て、間瀬教授は、マイクロサーバシリーズ開発陣に対し、「より軽く」「冷却性能の向上」などの要望も持ったとのことで、今後の更なる進化へ期待を抱いている、とのことである。