掲載日:2010/05/28 (2011/12/20改訂)
企業概要
インターネットを利用した遠隔システムの構築や、ECサイトの構築・運用・サポート、また、Webアプリ・Windowsアプリの受託開発等を行う。
駆動系部品も無く故障要因を徹底排除した小型サーバーを採用
有限会社 ロジックベース(以下ロジックベース)では、ネットワークカメラを利用したボイラー設備遠隔監視システムの開発にあたっていた。
試作段階の当初は、某社のHDD搭載Linuxボックスをベースハードウェアとして検討していた。しかし実際それで試作機を組んだところ、HDDを内蔵していることで筺体が大きく重たくなり可搬性に劣ること、思いのほかスループットが伸びないこと、またHDDや冷却ファンといった駆動系を持ち故障が心配なこと、といった懸念が生じ、代替となるハードウェア製品の検討が必要となった。
ロジックベース 代表取締役 樋口 昭夫氏
「そんなとき、展示会で見たというOpenBlockS 600の話を知人から聞き、駆動系もなく堅牢でコンパクト、さらには高スペックと“これしかない!”と思いました。」
そう語るのは、ロジックベース 代表取締役 樋口氏(以下同)である。
当時、最新モデルOpenBlockS 600は未出荷だったため(※)、ロジックベースでは、マイクロサーバシリーズの既発モデル「OpenMicroServer」を採用して開発試験を開始。OpenMicroServerの堅牢性を高く評価しての採用であった。
結果OpenMicroServerは、遠隔監視システムにおける遠隔側サーバーとして試験利用を開始し、課題であったボイラー設備遠隔監視システムの開発に成功する。
ボイラー設備の炉内温度監視機器として
ロジックベースが開発したボイラー設備遠隔監視システムとは、各地のボイラー設備に設置したネットワークカメラのライブ映像と、ボイラー炉内の温度監視のデータを OpenMicroServer がインターネットVPNを介して監視センターに送信し、集中管理を行うというものである。
OpenMicroServerはその堅牢性を生かし屋外でプラボックスの中に入れて使用され、監視センターでは映像と温度を見て設備側の運転・保守のサポート行っている。
このボイラー設備の遠隔監視システムにつき、現在では、OpenMicroServerに代わり、スペックアップしたOpenBlockS 600への移行を検討中とのことである。
OpenBlockS 600 の発売でさらに広がる可能性
満を持して出荷されたOpenBlockS 600は、OpenMicroServerと同じく駆動系など故障要因を排除し、サイズは手のひらサイズへ小型化され、1GbEポート×2、1GBメインメモリと大幅なスペック向上を果たした。
さらに、周辺温度0〜53℃での動作を保証、低消費電力の省エネ設計、メンテフリーと、顧客の手離れも大変良いため、ソリューションの基幹システムとして提供するには最適であった。
これまでのボイラー設備の遠隔監視システムとは別に、さらに柔軟な導入を可能にし、かつ用途を発展させ開発されたのが、イー・モバイルのデータ通信アダプタを使ったネットワークカメラシステムである。
OpenBlockS 600なら、一般的なIAサーバーとほぼ同等のスループットを実現しているという理由から、イー・モバイルアダプタのUSB接続運用を安定して行うことができる。すると今まで有線で利用していた監視システムも、無線での利用が可能となり、活用の場は大きく広がることとなる。
「イー・モバイルのデータ通信アダプタを使ったネットワークカメラシステム」のモバイルカメラサーバーとして
OpenBlockS 600の採用で実現したイー・モバイルアダプタによる無線遠隔監視システムの特徴は、回線工事の必要がないため設置が容易な点である。電源を立ち上げればイー・モバイルが自動接続し、簡単な操作だけでインターネット経由で携帯電話や自宅PCからモニタリングや、カメラの制御を行うことが可能になる。
イー・モバイルを用いたこのネットワークカメラシステムは、現在OpenBlockS 600の堅牢な動作保証により、災害現場や工事現場の監視カメラ、農畜産用ハウス内の監視カメラ、また簡易テレビ会議や施設監視などに利用されている。 賃貸等で固定回線を敷設できない環境の場合でも設置可能であるため、広範な用途での活用が期待できる製品となった。
堅牢な筐体だからこそ実現できたソリューション
ロジックベースは、OpenBlockS 固有の特長を生かし、当初の課題解決はもちろんのこと、イー・モバイルを用いたシステムという新しい製品の開発も実現することができた。
樋口氏はその結果に大変満足しており、その感想を以下のように語った。
「OpenBlockS 600やOpenMicroServerには、HDDや冷却ファンなどの駆動系が無いため、故障の心配がなくなりました。さらに、低消費電力で、日常的な温度変化による影響も心配ないため、屋外などタフな環境下での利用が可能です。このような耐環境性に優れたハードウェアがなければこの製品は実現できませんでした。」
ロジックベースが開発した、イー・モバイルアダプタによる無線遠隔監視システムは、プラント設備等の管理会社が主な販売ターゲットである。最近では更に、観光地のライブ映像の公開、貨物自動車の積載状態の監視などといった、様々な方面から導入案件が増え、評判は上々のようだ。
今後ロジックベースは、得意としているマイクロサーバーとインターネットを利用した、製品の開発・拡販を目指している。
http://www.logicbase.jp/mcv2600em.html
補足:ロジックベース開発環境
当初行っていた他社製ハードウェアでの構築試験時に使用していたこともあり、OpenMicroServerでの構築時には、ベースとしてDebianを使用。
のちのOpenBlockS 600を用いた製品についても、同様の理由にてDebianをベースとして使用。
開発工程としては、公開された新しいファームウェアのアップデートのみで、サポートを受けることもなく順調に、約一カ月余りで順調に開発を行うことができた。
実機: | OpenMicroServer + Debian OpenBlockS 600 + Debian |
クロスコンパイル環境: | SSD/Linux(VMware5) |