掲載日:2009/02/25
スピーディでスムースな導入を実現するソリューションを
NECソフトウェア北陸では、学校や自治体、企業などにおける、不正な大量印刷の抑制や個人用途での印刷の防止、およびそれによるコスト効果を実現する、プロキシ型の小型アプライアンス「印刷制御BOX netBlade」 ※1 を開発した。
印刷可能な時間帯のスケジューリングや、印刷ログの管理といった機能を持つ一方で、設置・運用の簡便さ、そして導入環境や監視先プリンタのメーカーなどを問わない柔軟性も大きな特徴であるが、それらはそのまま開発当初の課題でもあった。
「こうした印刷制御ソリューションを、通常のPCサーバーとアプリケーションソフトという大げさな環境で構築するのではなく、もっとスピーディでスムースな導入が可能な形態で提供したかった。それが当初からの課題でした。」(山崎氏、以下同)
導入環境を問わない小型・堅牢なハードウェア
netBladeの導入は、プリンタとクライアントマシンとの間のプロキシゲートウェイとしてネットワークに接続するだけで、あとは別途サーバーを用意する必要もなく、管理用PCから制限時間など簡単な設定を終えれば運用可能である。こうした当初の課題を満たす製品開発の実現に大きく貢献したのが、ベースハードウェアとしてのアプライアンス・プラットフォーム、OpenBlockS266の採用である。
「開発当初から、プリンタとクライアントマシンとの間に難なく設置できる、つまり省スペース性や堅牢性に長け導入環境を選ばないハードウェアを求めていました。」
こうした条件を満たすものとしては、他社製のものを含めいくつかの候補が挙がったが、結果採用されるに至ったのがOpenBlockS266であった。
山崎氏が注目したのは、検討すべき様々なファクタにおいてOpenBlockS266が備えていたアドバンテージであったという。
「まず故障の少なそうな製品仕様が魅力的でした。これだけ小型なうえ堅牢性も申し分ないとなると、かなり幅広い環境で導入できます。また、これまでの採用実績が十二分にあったので、アプライアンス製品のハード部分としての信頼性は確かなものです。それと、CFを内蔵できエンドユーザーが容易に取り出せないという点も、採用の決め手になりました。」
OpenBlockS266を含むマイクロサーバシリーズは、累計で40,000台の売上台数を誇り、その多くが企業での小型ネットワーク管理アプライアンス用途である。ファンなどの回転部品非搭載により高い堅牢性と対環境性を備えるなど、アプライアンス開発専用の設計思想に基づいた仕様は、これまで多くの企業から信頼と採用実績を勝ち取っている。
加えて、CFを筐体内部に完全に格納できる点も、製品開発にあたっての大きなアドバンテージであった。netBladeは、サーバールームのような隔離空間のみならず、オフィスルームや研究室での設置も想定されるものであり、不特定多数のユーザーが簡単に内部を「いじれる」ようなものでは、運用に不安が出てしまう。この点も、アプライアンス製品の開発専用ハードウェアとしてしっかりフォローされているのが、OpenBlockS266の特長である。
開発を助ける充実の独自ディストリビューションOS
netBladeの開発にあたり山崎氏は、言語としてはC++とC、アプリケーション部分はDebianの自作クロス環境を、そしてカーネルおよびイメージの作成には、OpenBlockS266プリインストールの独自ディストリビューションOS「SSD/Linux」を用いている。
OpenBlockSシリーズの専用OSとして実績を積んできたこのSSD/Linuxだが、netBladeの開発にあたっても、そのコンパクトさ・扱いやすさは高く評価されている。
「SSD/Linuxのビルド環境は、OpenBlockS固有のパッチを含め、オリジナルとの差分がパッチ形式で配布されているので、netBladeの固有パッチ適用がとてもやりやすかった。それと、Debian-ia32でカーネルパッチの作成・動作確認、SSD/Linuxカーネルへの適用を行いましたが、こちらも特に問題なくポーティングできました。
また、netBladeはディストリビューションとしてDebianを採用していますが、OpenBlockSのDebian化のための設定情報やHDDイメージも、ウェブサイトで配布していますね。そのため、導入が楽にできました。」
ソフトウェア会社に大きな導入メリットを提供する製品
こうして開発されたnetBladeは、NECソフトウェア北陸ソリューションフェアにおいて日の目を見ることとなった。来場者からは、好ましいリアクションが得られ、開発当初の課題を十分に満たす製品開発ができた、と山崎氏は語る。
「アプライアンス化に必要なファクターを全て備えたハードウェアを、自社でわざわざ開発しなくても、サポートまでついた製品として用意できるというのは、我々のようなソフトウェア会社には大きな魅力です。今後も、小型アプライアンスを組み込んだ新しいソリューションを企画する時には、ぜひまた使用したいですね。」
※1 | 参考事例。なお、netBladeの詳細情報・お問合せは下記URLをご参照下さい。 http://www.hnes.co.jp/solution/develop/ |