掲載日:2010/09/08
企業概要
報道、スポーツ、音楽、ドラマ、バラエティやアニメ等の番組で常に高視聴率を維持するキー局。
平成21年度は前年に続きゴールデン(19時〜22時)、プライム(19時〜23時)、全日(6時〜24時)の時間帯で、関東地区において民放テレビ局トップの視聴率を獲得し、6期連続の「三冠王」を達成。
OpenBlockS 600の導入により、飛躍的に業務効率が向上
技術開発局設備対策室設備運用部
部長職 新井 清志氏
今や、テレビ放送内の情報伝達において、CG、あるいはスーパー・テロップといった文字情報は欠かせないものとなり、それらが活用されない番組を見かけることはほとんどない。
民放キー局株式会社フジテレビジョン(以下フジテレビ)では、ドラマ、バラエティ、スポーツ番組などで使用されるCGの制作に加え、報道番組などでのリアルタイムなCG制作・編集、さらにはそれらCGの送出スタジオと、CGに関わる様々な業務を担当する部署が、階をまたいで複数存在する。これら各部署はそれぞれ、セキュリティの都合上、管轄の異なるいくつかのLANを使用し、作業にあたっているという。
「セキュリティの都合上、各ネットワークを直接つなぐことはできません。そのため当初は、別々のネットワーク間でCGやテロップのデータをやりとりする場合には、作業フロアのある14階からCGを送出するスタジオ(スタジオサブ)がある4階まで、データの入ったUSBメモリを持ったスタッフが駆け下りて行き、それを直接手で相手に渡していました。」
と技術開発局設備対策室設備運用部 部長職 新井氏。
技術開発局設備対策室設備運用部
CGシステムエンジニア 遠山 健太郎氏
「今USBメモリは色々とトラブルの元となっており、とくに中にウイルスが入っていて感染してしまうパターンが非常に多いため、このやり方はなくしたいと考えていました。お互いのネットワーク同士の独立性は保ちつつ安全にデータを受け渡しでき、しかも誰でも利用できる、というやり方はないものかと。しかしこのとき、LAN同士を結ぶためにわざわざ高価なファイルサーバーを導入するわけにもいきませんでした。
そこで、データのやり取りをセキュアに、ドラッグ&ドロップで誰にでも行うことができるデータ中継サーバーを、OpenBlockS 600を使って導入することにしました。」
こう語るのは、技術開発局設備対策室設備運用部 CGシステムエンジニア 遠山氏である。
4階スタジオサブ(送出スタジオ)
OpenBlockS 600は14階の作業フロアと4階にあるスタジオサブのいずれのネットワークからも外側に位置し、内蔵コンパクトフラッシュのストレージ領域は、どちらのネットワークからも、ネットワークドライブとしてWindowsPC または Macを介し確認することができる。もちろん、互いに接続が許されない2つのネットワークは直結されておらず、データ授受の際のセキュリティは保たれる。
このことにより、14階で制作したCGデータをネットワークドライブにドラッグ&ドロップ、その後4階のCG送出用PCで同じくドラッグ&ドロップによりデータを取得し放送、というシステムが実現、飛躍的な業務効率の向上を果たすこととなった。
比類のない堅牢性が採用の決め手
「OpenBlockSの存在は、以前から雑誌やインターネットで話題になっていたので、元々知っていました。このシステムの話が出た時は、正直OpenBlockSを使うこと以外は考えられなかったですね。」
と遠山氏。まずはシステム開発に着手した2007年当時のシリーズ最新機OpenMicroServerを本システムに導入し、そしてその後、OpenBlockS 600の発売と同時に、そちらを追加で導入した。いずれも採用の理由は、その比類ない堅牢性にあったという。
「まずOSがLinuxというのはすごく助かります。Linuxならウイルスに対して打たれ強いですから。片側のネットワークが感染したとしても、OpenBlockS 600を飛び越えて反対側のネットワークにまでウイルスが入ってしまうことはまずありません。またそういう意味で、ポートが二つあり、ネットワークセグメントを2つ持てるようになるのも重要なポイントでした。」(新井氏)
「HDDが入ってないのも良いですね。フラッシュタイプなら軽くて壊れにくいため、一度(サーバーを)構築して各部署に設置してしまえばあとは手間いらず。もうこのシステムは3年以上前から運用を続けていますが、一度も壊れていません。」(遠山氏)
ITの知識がなくても簡単に利用できる
堅牢な小型の筐体を生かし、
サーバーの上のデッドスペースに設置される
OpenBlockS 600
「それと、現場はITスキルの高い者ばかりではないので、通常のサーバーマシンだと、起動やシャットダウンを正しく行うことができないケースが想定されます。しかしその点、OpenBlockS 600なら、ACアダプターを挿せば起動して、万が一の時には抜けば落ちる、というのが、知識がない人には非常に使い勝手が良い。電源投入後の起動も数十秒で完了するので、仮に放送中になんらかの理由で落ちたとしてもすぐに復旧できる、という安心感はとても大きいです。とはいえ導入してからOpenBlockS 600が落ちたことは一度もありませんが。」(遠山氏)
「小さくて場所をとらないのも魅力の一つですね。スタジオは色々な機材が持ち込まれているのでスペースが限られていますから。また省スペースという意味では、モニターが必要ないのも助かりますね。」(新井氏)
業務効率の向上とセキュリティの強化を同時に実現、優れた導入効果
「いままでのUSBメモリを使ったデータのやり取りから、PC間でのデータのドラッグ&ドロップへと、時間・労力の面で導入効果は大きいです。またセキュリティ面でも、万全のウイルス対策が実現できました。高価なファイルサーバーを導入することを考えると、コストパフォーマンスは非常に優れていますね。」(新井氏)
今回のマイクロサーバ導入について、システム管理者からは設置・管理の容易な点が、そしてユーザーからは誰でもすぐに利用可能な点が、それぞれ好評であるという。そのため現在は、フジテレビ社内の他の複数の拠点でも同様の用途で導入されるに至った。※1
通常であれば、業務効率向上のためと称して、業務の簡略化や作業時間短縮といった手法が採用されることにより、セキュリティがおろそかになるケースも少なくない。また逆にセキュリティを強化しようとすると、作業工程増加による業務効率の低下が起こる場合もある。この点フジテレビ技術開発局のケースでは、OpenBlockS 600を採用することにより、業務効率向上とセキュリティ向上という両方の課題を解決したことになる。
管理者、利用者共に高い評価を寄せるOpenBlockS 600は今や、フジテレビの番組制作に欠かせないITインフラとして活躍中である。
※1 導入製品
OpenBlockS 600 (専用CFカード 4GB)×1台
OpenMicroServer (専用CFカード 4GB)×3台
生放送の視聴者アンケート収集のウイルス対策としても使用されていました
ぷらっとホームのマイクロサーバシリーズは、今回のOpenBlockS 600の採用に先駆け、2008年、生放送中のウイルス対策として、すでに導入済みであったという。
当時、フジテレビは、生放送中にインターネットでテレビ視聴者からアンケート結果をリアルタイムで取得し、その結果を番組内で即反映させていくという番組の制作・放送を行っていた。
実は、このシステム内でも、ぷらっとホームマイクロサーバOpenMicroServerが活用されていたという。
「スタジオサブの中に、アンケート情報をリアルタイムに取得するために、インターネットにつなげたPCがありました。アンケート結果を放送するためには、CGを送出するためのマシンを、そのPCとつなげる必要があり、当然ウイルス対策の必要があるため直結することはできません。そこで互いのPCの間にOpenMicroServerを置き、データ中継サーバーとして利用することでセキュアなデータのやり取りを実現し生放送を行っていました。」
と遠山氏。
実は、これがぷらっとホームのマイクロサーバが、フジテレビで最初に採用された事例であり、その優れた性能と導入効果により今日の採用につながっている。