IoTでモノの紛失を予防・捜索
駅・百貨店・イベント会場の落とし物捜索に
「OpenBlocks IoT EX1」・「AirMange for IoT」を活用
MAMORIO株式会社
掲載日:2017/09/06
組織概要
MAMORIO株式会社 2012年7月に日本初の落とし物総合サイト「落し物ドットコム」開設と共に設立。現在も「なくすを、なくす。」を企業ビジョンに掲げ、持ち物の紛失防止や落とし物を見つける商品・サービスの提供を行っている。 |
MAMORIO株式会社(以下、MAMORIO社)は同社の提供する落とし物防止タグ「MAMORIO」を利用した落とし物防止サービスを提供している。落とし物防止タグを取り付けたモノの紛失予防や、落としてしまったときに発見しやすくするサービスだが、このサービスを構成する機器・サービスの1つとして「OpenBlocks IoT EX1」及び「AirManage for IoT」が採用されており、当製品採用の背景・理由などの話を聞いた。
IoT技術を使った「なくすを、なくす。」仕組みづくり
MAMORIO株式会社
最高執行責任者 COO
泉水 亮介 氏
落とし物防止タグ「MAMORIO」
小型サイズで様々な持ち物に取り付け出来る
MAMORIO社は創業当時より「落し物ドットコム」という落とし物を探している人と拾った人とをマッチングするポータルサイトを運営しており、「紛失物」に特化した企業だ。落し物ドットコムを運営している中、落とし物防止タグを使ったサービスMAMORIOを作ったキッカケについてMAMORIO社 最高執行責任者 COO 泉水 亮介氏(以下、泉水氏)は次のように話してくれた。「落し物ドットコムは利用者も増え、役に立つサービスではあるんですが、落とし物を拾った人または探している人が能動的にポータルサイトにアクセスし、落とし物情報の登録作業をしなければなりません。これはこれで役に立つサービスですが、もっと自動的に落とし物を探したり、そもそも紛失を防止する仕組みを作れないかなと思って始めたサービスがMAMORIOです。」
MAMORIOは落とし物防止タグを使ったサービスで、IoT技術を使って実現している。防止タグはBLE(Bluetooth Low-Energy)ビーコンを使っており、スマートフォンにMAMORIOアプリを入れる事によって、スマートフォンがタグから発せられる電波を受信する役割を担う仕組みになっている。落とし物防止タグとスマートフォンは常にBLEで接続されており、スマートフォンと落とし物防止タグが離れてしまった場合はスマートフォンに通知が来る仕組みとなっており、タグをつけた物の紛失を未然に防ぐ事が出来る。
また、万が一タグをつけた物を紛失してしまってもMAMORIO利用者のスマートフォンはすべての利用者のタグの受信器となるため、落とし物の近くに利用者さえいれば、発見出来る可能性がある。つまり、MAMORIOの利用者が増えれば増えるほどタグの電波を受信する機器が増える為、結果的に落とし物が発見できる可能性も高くなるというユニークなサービスだ。
鉄道会社・百貨店・イベント主催者とも連携
「MAMORIO Spot」に
採用されているOpenBlocks IoT EX1
MAMORIOはMAMORIOアプリを入れたスマートフォンを持つ利用者同士が協力しあって落とし物を探す仕組みになっているが、それ以外にも落とし物を発見しやすくする仕組みを用意している。MAMORIO社では MAMORIO Spotというタグの電波を受信するアンテナを鉄道の駅や百貨店、イベント会場の忘れ物センターに設置している。駅などに届けられた落とし物は、通常落とし物センターなどに保管されるため、MAMORIOアプリを持った人がタグの電波を受信する可能性が低くなり、結果的に落とし物を発見出来る可能性が低くなる問題があったと泉水氏は話す。この問題を解決するため、落とし物が保管されている場所へアンテナを常設し、MAMORIOアプリを入れた利用者が近くにいなくてもタグの電波を受信する事ができ、落とし物を発見出来る可能性をより高くしている。
現在このMAMORIO Spotは首都圏をはじめとする私鉄各社の駅や、大手百貨店、花火大会などのイベント会場などに設置されており、「年間2600万件以上の落とし物がある中で、駅での取扱件数は年間1000万件もあると言われています。そういう背景もあってMAMORIO Spotのお陰で落とし物が見つかったという声が非常に多くあります」と泉水氏は話す。この常設しているMAMORIO Spotのアンテナ機器として採用されているのが「OpenBlocks IoT EX1」だ。
拡張性の高いIoTゲートウェイで新たな社会インフラを目指す
OpenBlocks IoT EX1はBLEの通信が可能なIoTゲートウェイ製品だ。MAMORIOのタグが発するような、BLE電波を受信出来るため、MAMORIO Spotのアンテナには最適な製品だが、採用した理由はそれだけではないと泉水氏は話す。「OpenBlocks IoT EX1を採用したのは、BLEの受信感度が良いこと、遠隔管理出来るサービスがあること、製品の拡張性が高いこと。この3つが主な理由ですね。」(泉水氏)
MAMORIO Spotの実証実験当時、タブレット端末をアンテナとして利用していたがBLEの受信感度があまり良くなく、OpenBlocks IoT EX1で試したところ約2倍の受信感度が得られたそうだ。また、MAMORIO Spotで使われているOpenBlocks IoT EX1はIoTゲートウェイ統合遠隔管理サービス「AirManage for IoT」を利用しており、機器の死活監視やソフトウェアのリモートアップデートを行っている。「MAMORIO Spotを使って何か新しいサービスを始めたいというときに、わざわざ現地へ行ってソフトウェアの書き換えなどはやっていられないので、その点は便利だと感じています」と泉水氏は言う。さらに、OpenBlocks IoT EX1は拡張性にすぐれたIoTゲートウェイで、LTE/3G通信モジュールの他に、EnOceanやWi-SUNなど様々な通信モジュールを追加出来る。MAMORIOは現在コスト・サイズ・普及度の面からBLEを採用しているが、今後BLEより採用メリットが高い別の通信方式が主流となった場合の切り替えや、他の通信を使った新たなサービス展開を行う場合でも柔軟に対応出来る面が評価された。
現在、MAMORIO社は損害保険会社と協業し、紛失まで補償範囲を拡大した盗難保険を提供するなどのユニークなサービスも用意しており、今後もMAMORIOの付加価値を向上させるサービスを拡充していくそうだ。泉水氏は最後に、「MAMORIOは最終的にはタグという形をなくしていくのが究極なゴールだと思ってます。例えばすでにMAMORIOが最初から組み込まれたバッグや手袋、自動車のキーなどがありますので、今後こういった製品を拡充していこうと思っています。さらに、駅や百貨店以外にも落とし物がよく集まるあらゆる場所へアンテナを設置して、みんなが頑張らなくても落とし物を探せる世の中を目指して行きたいですね」と、“なくすを、なくす”社会を目指す意気込みを語ってくれた。